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32雷風恒 らいふうこう
恒 八卦の
男性が、女性から尊敬されるよう努力することが、男尊女卑なのだ。 女性が結婚相手を選ぶとき、たいていは、尊敬できる何かを持っている男性を探すではないか。 要するに男性と女性とでは、根本的に異性に対して求めることが違うのだ。 ついでに、夜の生活を考えてみよう。 もちろん夜の生活だけではなく昼間もいろいろな面で、この人は頼りになる、と尊敬されるようでなければ、女性の心は離れてしまう。 また、太古の時代の中国では、女尊男卑の社会が点在していた。 かなり脱線してしまったが、そろそろ話を卦の解説に戻そう。 さて、この雷風恒だが、外卦の震を長男とし動くとし行うとして、内卦の巽を長女として従うとし斉(ととの)えるとすれば、男性は外で働き、女性は内を守って従い斉える、ということになり、これこそ家庭を営む基本である。 なお、恒久とは変化がない、ということではない。
【書き下し】恒なれば、亨る、貞しきに利し、咎无し、往く攸有るに利ろし、 およそ天下の事、よくその道に恒久の心構えで勤しんでいるときには、なんでも亨通するものである。 もとより人たる者のかりそめにも離れるまじく守るべきは、貞正の道である。 そして、すでに貞正にして、よく恒常の道を守り、その作業はよく恒久の徳を修め、なおかつ宜しきに従って動き務めるのであれば、何事をするのであっても、問題はない。 |
【書き下し】彖に曰く、恒は、久きなり、剛上って而して柔下る、雷風相与し巽って而して動き、剛柔皆応あるは、恒なり、 恒の字の義は久の字の意である。 【書き下し】恒は、亨る、貞しきに利ろし、咎无しとは、其の道に久しければなり、往く攸有るに利ろしとは、終うれば則ち始まること有ればなり、 この卦の亨る、貞しきに利ろし、咎无しというのは、すべて其の道に恒久を以ってのことである。 【書き下し】天地の道は、長久にして而して已まず、日月天を得て、而して能く久しく照らし、四時変化して、而して能く久しく成す、 大自然すなわち天地の道は過去から現在までとてつも長く同じことを繰り返しながら続いて止まることがない。 【書き下し】聖人其の道に久しくして、而して天下化成す、其の久しくする所を観て、而して天地万物の情を、見つ可きなり、 聖人は天地の道に則り倣い、よく其の道に恒久であることを以って、天下の人々を教化育成する。
【書き下し】象に曰く、雷風あるは、恒なり、君子以って立つこと方を易えず、 雷と風があるのが恒である。雷と風があれば不安になるが、だからこそ恒の心が必要なのである。 |
上六━ ━ 【書き下し】初六は、浚きことを恒にせんとす、貞くすれば凶なり、利ろしき攸无し、 【書き下し】象に曰く、浚きことを恒にするの凶なりとは、始めより深きことを求むればなり、 およそ何かをするときには、まずは簡単なところから入り、徐々に難しい内容に進むのが基本である。
上六━ ━ 【書き下し】九二は、悔い亡ぶ、 【書き下し】象に曰く、悔い亡ぶとは、能く中に久しければなり、 九二は臣の位に在って、剛中の才を以って六五柔中の君を輔佐する象義が有る。
上六━ ━ 【書き下し】九三は、其の徳を恒にせざれば、之が羞を承くること或り、貞くすれば吝し、 【書き下し】象に曰く、其の徳を恒にせざるとは、容るる所无きとなり、 徳とは、各人天性の中に具え得ているものである。 なおこの文章は『論語』子路第十三22に引用されているので、『論語』の読者にはなじみ深いところだろう。
上六━ ━ 【書き下し】九四は、田に禽无し、 【書き下し】象に曰く、久しくとも其の位に非ざれば、安んぞ禽を得んとなり、 九四の執政大臣は陽剛の徳は有るが、陽位ではなく陰位に居るので、内面的には陰邪暗昧にして小人の阿り諂いを悦び、外面的には陽剛の行いを衒いその徳位を恒久にせんと謀る人物である。
上六━ ━ 【書き下し】六五は、其の徳を恒にせり、貞くすること、婦人は吉なれども、夫子には凶なり、 【書き下し】象に曰く、婦人は貞くすること吉なりとは、一に従って而して終ればなり、夫子は義を制し、婦に従うは凶なるとなり、 六五は恒久恒常の卦に在って、柔中の徳が有り、よくその徳を恒にする者である。
上六━ ━○ 【書き下し】上六は、恒を振う、凶なり、 【書き下し】象に曰く、恒を振るって上に在るは、大いに功无きとなり、 ここでの恒は、常久の義にして変動しないことを言う。 |
究極の易経解説 メニュー 01.乾為天 02.坤為地 03.水雷屯 04.山水蒙 05.水天需 06.天水訟 07.地水師 08.水地比 09.風天小畜 10.天沢履 11.地天泰 12.天地否 13.天火同人 14.火天大有 15.地山謙 16.雷地予 17.沢雷随 18.山風蠱 19.地沢臨 20.風地観 21.火雷噬嗑 22.山火賁 23.山地剥 24.地雷復 25.天雷无妄 26.山天大畜 27.山雷頤 28.沢風大過 29.坎為水 30.離為火 31.沢山咸 32.雷風恒 33.天山遯 34.雷天大壮 35.火地晋 36.地火明夷 37.風火家人 38.火沢睽 39.水山蹇 40.雷水解 41.山沢損 42.風雷益 43.沢天夬 44.天風姤 45.沢地萃 46.地風升 47.沢水困 48.水風井 49.沢火革 50.火風鼎 51.震為雷 52.艮為山 53.風山漸 54.雷沢帰妹 55.雷火豊 56.火山旅 57.巽為風 58.兌為沢 59.風水渙 60.水沢節 61.風沢中孚 62.雷山小過 63.水火既済 64.火水未済 |
ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。 |
最終更新日:令和04年04月03日 学易有丘会
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