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前の卦=36地火明夷 次の卦=38火沢睽

37風火家人 ふうかかじん

 

家人 離下(りか)巽上(そんじょう)

八卦の()の上に、(そん)を重ねた形。

家人(かじん)は一家の人という意。
また、単に家という意でもある。
これは、天火同人の同人を、「人と同じ」という意に取る場合と、単に「同じ」という意にとる場合があるのと同様である。
また、家道とも家業ともする。
そもそも家を治める道は、男子は外に出て仕事をし、女子は家の内にあって家政を守るものである。
だから嫁という字があり、妻を室家、家内などと呼ぶのである。

男女平等思想からすると、何やら言語道断にも思えるが、雷風恒のところでも書いたように、男と女の習性をもってシミュレーションすれば、この世の中は男尊女卑か女尊男卑かの何れかであって、結婚を前提とした家は男尊女卑があって初めて成立する制度・風習なのである。
逆に言うと、男尊女卑がなければ結婚は成立し得ないのである。
ただし易で言う男尊女卑は、中世ヨーロッパのキリスト教徒のように、神の真理だとして男性が女性を力づくで強引に従属させることではなく、男性が女性から尊敬される資質を身に付けることを求めているのである。
詳細は、男尊女卑と女尊男卑をご覧ください。

さて、この卦は巽の長女が上に位置し、離の中女が下に位置しているわけだが、これは上下共に女卦=陰卦にして、長者は上、次者は下に居る。
これは家に居る序である。
だから、家人と名付けられた。
また、九五の陽爻中正の夫が上に居り、六二陰爻中正の妻が下に居るわけだが、これは夫婦が室に在るときの常の姿であるとともに、九五の夫は外事を務めるべく外卦に在り、内卦の六二の妻は内事を守って内卦に居る。
この二事は、家道の大綱である。
だから、家人と名付けられた。
また、離明にして巽従する様子でもあるが、内は明らかにして、外に従う時は、その家はよく斉(ととの)うものである。
だから、家人と名づけられた。
また、巽風が離火より出る様子でもある。
風は陰気であり、火は陽気である。
陰陽は互いに助け合って益すものである。
風が激しいときは、必ず火は燃え盛り、火が燃え盛るときは、必ず風が激しくなるものである。
焚き火は団扇で風を送って火勢を強くし、火事のときは必ず風が起きるように。
この卦は、離火が内に在り、巽風が外に在るが、これは火が風を生じる様子であって、物事が内より外に発することを示唆しているのである。
これを人事について言えば、身を修め、家を(ととの)え、然る後に天下国家を治めるに至るのであって、その身を修め家を斉えることは、家に居る女性たちにかかっているのである。
だから、家人と名付けられた。

 

卦辞(かじ) 〜彖辞(たんじ)とも言い、周の文王の作と伝わる。

家人( か じんは)(よろし )(おんなの ) (ただしきに)

【書き下し】家人は、女の貞しきに利ろし、

この卦は、六四は偶画陰位にして柔正を得ているとともに、六二は偶画陰位に居て柔順中正を得ている。
これは、偶画陰爻の女子が貞正な様子である。
そもそも家を斉えるということは、その家に居る女性が、女性として正しく生きているか否かで決まる。
その家にいるのが、女性として正しく生きてない場合、例えば、父親を尊敬しない娘、夫を尊敬しない妻であれば、家は斉わず、娘は家出を、妻は離婚を考えるというものである。
だから、女の貞しきに利ろし、という。
もちろん、その家の主人が、夫あるいは父親として尊敬される資質を備えた人間でなければ、娘や妻も女性として正しく生きようとは思えないものである。
息子も同様である。
要するに、その家を構成する人間それぞれが、それぞれの立場で正しく生きられるようにすること、それが家を斉えるということであって、それはその家の主人の資質にかかっているのである。

彖伝(たんでん) 彖伝は卦辞(彖辞)の解説で、孔子作と伝わる。

彖曰(たんに いわく)家人( か じんは)(おんな ) (ただしくし) (くらいを)(うちに)(おとこ ) (ただしくす) (くらいを)(そとに)男女( だん じょ ) (ただしきは)天地( てん ちの )大義(たい ぎたるなり)也、

【書き下し】彖に曰く、家人は、女位を内に正しくし、男位を外に正しくす、男女正しきは、天地の大義なり、

女、位を内に正しくしとは、卦辞の女の貞しきについて述べたものであり、内は内卦を指し、六二が陰陽の位正しく中を得て柔順だということである。
男、位を外に正しくしとは、外は外卦を指し、九五が陰陽の位正しく中を得て剛健だということである。
このように男女が内外で位正しく居ることは天地の大義だからこそ、卦辞に利ろしとあるのである。

家人( か じんに) ( あり )嚴君( げん くん )父母( ふ ぼの ) 謂也( いいなり  )

【書き下し】家人に厳君有り、父母の謂いなり也、

家には厳かな主人が居るが、子からすればそれは父母のことである。
内に在っては父母に仕えるように、外に在っては君長に仕えるものである。

父父(ちちは ちちたり)子子( こは こたり)兄兄(あには あにたり)(おとうとは ) (おとうとたり)(おっとは ) (おっとたり)婦婦(つまは つまたり)(しこうして) 家道( か どう ) (ただし)(ただしくして)(いえを)(しこうして) 天下( てん か ) 定矣(さだまるなり )

【書き下し】父は父たり、子は子たり、兄は兄たり、弟は弟たり、夫は夫たり、婦は婦たり、而して家道正し、家を正しくして、而して天下定まるなり、

父は父として、子は子として、兄は兄として、弟は弟として、夫は夫として、婦は婦として、それぞれの役割をきちんと果たすことで、家は正しく運営され、このように家の外でも自分に与えられた役割をきちんと果たせば、天下も安定するのである。

 

象伝(しょう でん ) 卦の(しょう)=形の解説で、大象(たいしょう)とも呼ばれ、彖伝同様に孔子の作と伝わる。

象曰(しょうに いわく)( かぜ) ( より )() (いずるは)家人( か じんなり)君子( くん し ) (もって ) (いうこと) ( あり )(もの )(しこして ) (おこない ) (あるべし)(つね )

【書き下し】象に曰く、風火より出ずるは、家人なり、君子以って言うこと物有り、而して行い恒有るべし、

この卦は、離火が内に在り、巽風が外に在るが、これは火が風を生じる様子であって、物事が内より外に発することを示唆する。
君子ならば、寝室で女性のご機嫌を取るためだとしても適当なことは言わず、常に一貫性のある行動を取るべきである、と戒める。

爻辞( こう じ ) 〜周公旦の作と伝わる。象曰以下は孔子の作と伝わる象伝。

上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初九━━━○

初九( しょ きゅうは)(ふせぎて ) (たもたば )(いえを)(  くい ) (ほろびん)

【書き下し】初九は、閑ぎて家を有たば、悔い亡びん、

象曰(しょうに いわく)(ふせぎて ) (たもつとは )(いえを)(こころざし ) (いまだ/ざればなり )(へんぜ)也、

【書き下し】象に曰く、閑ぎて家を有つとは、志、未だ変ぜざればなり、

初九は家人の卦の初めなので、家を有つの始めに当たる。
しかも、陽剛の才が有り、正を得ている。
そもそも家を有つの道は、邪を去り正に基づき、奢靡(おごり)を閑ぎ、倹約を守るに在る。
ただし初九は不中なので、往々過失が有りがちで、悔いることも有る。
しかし、剛正の志を変じることなく、よく防閑(ふせ)ぎ守るので、その悔いも亡び消えるのである。
だから、閑ぎて家を有たば、悔い亡びん、という。

上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━○
初九━━━

六二( りく じは )( なし )(ところ)(とぐる)( あり )中饋(ちゅう きに )(ただしくして ) (きちなり)

【書き下し】六二は、遂ぐる攸无し、中饋に在り、貞しくして吉なり、

象曰(しょうに いわく)六二( りく じの )(きちなりとは)(じゅんにして ) (もって ) (したがえるなり)也、

【書き下し】象に曰く、六二の吉なりとは、順にして以って巽えるなり、

六二は陰偶にして妻の位であるとともに、中にして正を得ている。
なおかつ陰爻が陰位に在ることによる柔順を以って、内卦離明の主爻として外卦巽風の九五中正の夫に応じている。
これは、妻として、素晴らしい者である。
そもそも婦女の道は、一人の夫に従って終わる者にして、専ら制し、自ら遂げるという義はない。
だから、遂ぐる攸无し、という。
男女夫婦が家を治める道は、丈夫は外に出て事を行い業を務め、婦妻は内に守り、その職は中饋に在るのみである。
中とは、内に在って守る義と、内卦中爻の象義とを兼ねていて、饋とは、料理を作り食事の世話をすることである。
だから、中饋に在り、という。
婦女がこのようにして、なお身の節操を守ることが貞正であれば、それこそが吉というものなのである。
だから、貞しくして吉なり、という。
仮に妻たる女性が節操を守らず、夫の外出中に誰彼構わず寝室に招き入れたとしたら、生まれて来る子の父親は判然とせず、家は崩壊するのである。

上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━○
六二━ ━
初九━━━

九三(きゅう さんは)家人( か じんに) (かく ) (かくたりとも ) (くいあらためれば)(あやうけれども ) (きちなり)婦子( ふ しに ) 嘻嘻( き きたらば)(ついには ) (はずかし)

【書き下し】九三は、家人に嗃嗃たりとも、悔いあらためれば、獅ッれども吉なり、婦子に嘻嘻たらば、終には吝し、

象曰(しょうに いわく)家人( か じんに) 嗃嗃( かく かくとは)(いまだ/ざればなり) (うしなわ)也、婦子( ふ しに ) 嘻嘻( き きとは)(うしなうなり)家節( か せつを)也、

【書き下し】象に曰く、家人に嗃嗃とは、未だ失わざればなり、婦子に嘻嘻とは、家節を失うなり、

九三は過剛不中である上に、内卦離火の炎の極に居る。
そのために、九三はその家人を治めるに、厳酷叫喚することが烈火のごとくであり、このようであれば、人間関係が悪くなる。
家を治めることが厳刻に過ぎて、寛裕(ゆるやか)な取り計らいがないときには、必ず家人は親和せず、その家は(ととの)い難きものである。
したがって、自らその厳酷に過ぎる失を省み察して、これを悔い改めることが大事である。
そうすれば獅「ところはあるが、なんとか吉の道を得られるものである。
だから、家人に嗃嗃たりとも悔いあらためれば、獅ッれども吉なり、という。
嗃嗃とは、厳刻に過ぎる様子である。

また、九三は下卦離火の極に居るとしても、中卦(ニ爻〜四爻)坎水の主でもあり、なおかつ、過不中の爻である。
とすると、何事にも、中なる道を得ることは難しい。
家人を治めることが厳酷に過ぎることもあれば、逆に、愛に溺れ情に流されて、その節を失うに至ることもある。
そもそも坎の卦は、一陽の男子がニ陰の婦女の中に陥っている象である。
したがって、坎を愛に溺れ、情に流されている象とし、中卦坎水の主であるこの爻を、愛に溺れ情に流される者ともするのである。
今、この九三は坎の主にして、六二の陰爻に比し、六四の陰爻にも比している。
これは右と左にニ陰を抱えて寵愛に溺れる象である。
このように愛に溺れ、情に流され、平生嘻嘻として娯楽戯笑ばかりに耽り、婦子に溺れ甘やかせば、必ず家政の括りは解けて、再び縛り直すことはできないほどに堕落してしまう。
これは後代までに謗りを残す鄙吝の至極である。
だから、婦子に嘻嘻たらば、終には吝し、という。
嘻嘻とは、目先の喜びを以って甘え甘やかす様子である。

上九━━━
九五━━━
六四━ ━○
九三━━━
六二━ ━
初九━━━

六四( りく しは )(とます)(いえを)(おおいに ) (きちなり)

【書き下し】六四は、家を富ます、大いに吉なり、

象曰(しょうに いわく)(とますは)(いえを ) (おおいに ) (きちなりとは)(じゅんにして)(あればなり)(くらい)也、

【書き下し】象に曰く、家を富ますは大いに吉なりとは、順にして位在ればなり、

六四は柔正を以って宰相の位に居り、なおかつ上卦巽の従うの卦の主である。
したがって、よく君主に従い、民を懐柔存撫して、以って国家を富ませる者である。
だから、これが家人の卦であり卦名に家という字があることから、家を富ます、という。
もとより富ますの道は、大にしては一国一天下、小にしては一家の義である。
また、一家を以ってすれば、六四は一家の老(家老)である。
国に在っては一国の宰相である。
これを以って、家を富まし、国を富まし、天下を富ますというのであって、
その吉であることは、これより大なることはない。
だから、大いに吉なり、という。

上九━━━
九五━━━○
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初九━━━

九五(きゅう ごは )( おう )(いたる)(たもつに)(いえを)(なかれ)(うれえる)(きちなり)

【書き下し】九五は、王、家を有つに*假る、恤える勿れ、吉なり、

象曰(しょうに いわく)( おう )(いたるは) (たもつに)(いえを)(こもごも)( あい ) (あいすればなり)也、

【書き下し】象に曰く、王、家を有つに*假るは、交ごも相愛すればなり、

※假は、通本は假とするが、中州は彳に叚という字だとする。
しかしこの字は、JIS規格にもユニコードにもないので、※假(仮の旧字体)で代用しておく。

王とは九五のことである。
九五は、国に於いては王であり、家に在っては夫だが、その大なる者を挙げて王とする。
その九五は剛健中正にして、六四に比し、六二に正応している。
その九五は剛健中正にして、六二柔順中正の臣とは陰陽相応じ、剛柔相輔ける関係にある。
これは交ごも互いに相愛するの義であり、この卦は家の卦でもあるので、二五夫婦の恩愛親和の様子でもある。
と同時に、六四執政の大臣の爻にも比している。
これは、よく国政を内外の大臣に委任して、家を有つに至ることができるという義である。
もとよりこの卦は家人であるを以って、国天下と言わずに家とする。
天下を治める根本は、身を修め家を(ととの)えるに始まる。
家がすでに斉えば、必ず国は治まる。
何の憂恤(うれえ)ることが有ろう。
だから、王家を有つに※假る、恤える勿れ、吉なり、という。

上九━━━○
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初九━━━

上九(じょう きゅうは)(あって)(まこと) 威如( い じょたれば)(おわりに ) (きちなり)

【書き下し】上九は、孚有って威如たれば、終りに吉なり、

象曰(しょうに いわく)威如( い じょの)(きちなりとは)(かえりみるの)( みを )(いいなり)也、

【書き下し】象に曰く、威如の吉なりとは、身を反りみるの謂いなり、

上九は家を有つの極である。
家を有つの道は、第一に孚信を主とし、威厳を以って行われることを要とする。
威厳とは威儀荘重であること、その威儀荘重であるかどうかを自分自身で反省することが大事なのであって、信あれば人はよく親和し、威厳を失わなければ、人はよくこれを敬重する。
このように、親和と威厳を以って家人に臨むときには、家を(ととの)え治めることによる功績も、期待できるものである。 
だから、孚有って威如たれば、終りに吉なり、という。

前の卦=36地火明夷 次の卦=38火沢睽

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01.乾為天 02.坤為地 03.水雷屯 04.山水蒙 05.水天需 06.天水訟 07.地水師 08.水地比 09.風天小畜 10.天沢履 11.地天泰 12.天地否 13.天火同人 14.火天大有 15.地山謙 16.雷地予 17.沢雷随 18.山風蠱 19.地沢臨 20.風地観 21.火雷噬嗑 22.山火賁 23.山地剥 24.地雷復 25.天雷无妄 26.山天大畜 27.山雷頤 28.沢風大過 29.坎為水 30.離為火

31.沢山咸 32.雷風恒 33.天山遯 34.雷天大壮 35.火地晋 36.地火明夷 37.風火家人 38.火沢睽 39.水山蹇 40.雷水解 41.山沢損 42.風雷益 43.沢天夬 44.天風姤 45.沢地萃 46.地風升 47.沢水困 48.水風井 49.沢火革 50.火風鼎 51.震為雷 52.艮為山 53.風山漸 54.雷沢帰妹 55.雷火豊 56.火山旅 57.巽為風 58.兌為沢 59.風水渙 60.水沢節 61.風沢中孚 62.雷山小過 63.水火既済 64.火水未済

ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。
漢字は原則として新字体で表記しています。
易の初歩的なことについては易学入門をご覧ください。
また、六十四卦それぞれの初心者向け解説は無料易占いのページをご覧ください。
占いながら各卦の意味がわかるようになっています。

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最終更新日:令和04年04月03日 学易有丘会
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