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前の卦=18山風蠱 次の卦=20風地観

19地沢臨 ちたくりん

 

 兌下(だか)坤上(こんじょう)

八卦の()の上に、(こん)を重ねた形。

(りん)は「のぞむ」「のぞみ見る」という意。
この卦は、上の四陰爻から下の二陽爻を臨み見る様子。
だから臨と名付けられた。
これは風地観の、四陰爻から二陽爻を仰ぎ見るということの反対である。
また、下二陽爻から上四陰爻を臨み見る様子であるとともに、上下互いに臨み見る様子でもある。
だから、臨と名付けられた。
また、地雷復は一陽が始めて生じた卦であり、この地沢臨は陽が二本に増えた卦である。
陽が増えることは衆人の願い臨むところである。
だから、臨と名付けられた。
また、陽が増えるということは、君子の道が長じることであって、君子の道が長じることは、衆人の願い臨むところである。
だから、臨と名付けられた。
また、兌を悦ぶとし、坤を順うとすれば、悦んで順う様子である。
世の中には、不満だけど順わなければならないことが多い。
悦んで順えることばかりなら、これほど素晴しいことはなく、これこそ誰しもが臨むことである。
だから、臨と名付けられた。
また、坤を母とし、兌を少女とすれば、母子が相互に臨んでいる様子である。
だから、臨と名付けられた。
また、兌を沢、坤を地とすれば、沢の上に地がある様子だが、地上の水は流れて沢に入り集まって増え、沢の中の水は人々に汲み上げられることで地上の乾きを潤し助ける。
これは、地と沢とが相互に臨み合っている様子である。
だから、臨と名付けられた。

 

卦辞(かじ) 〜彖辞(たんじ)とも言い、周の文王の作と伝わる。

(りんは)元亨(おおいに とおる)(よろし)(ただしきに)(いたりて)八月( はち がつに)(あらん)(きょうなること)

【書き下し】臨は、元いに亨る、貞しきに利ろし、八月に至りて凶なること有らん、

およそ事業というものは、その願い臨むことの情が正しく、志も堅く、行いも篤いときには、その事業は必ず遂げられるものである。
だから、臨は元いに亨る、という。
しかし邪な情に流され、自己中心的になり、自分だけの利益を考えるようでは、臨みは儚く消えてしまうもの。
だから、貞しきに利ろし、という。
八月とは、十二消長で風地観に当たる月である。
十二消長では、地沢臨は旧暦十二月の卦であり、正月は地天泰、二月は雷天大壮、三月は沢天夬、四月は乾為天、五月は天風姤、六月は天山遯、七月は天地否、八月は風地観、九月は山地剥、十月は坤為地、十一月は地雷復である。
八月の風地観は、地沢臨の顚倒卦(上下逆さにした卦)であるとともに、雷天大壮の裏卦であるので、これを大衰の卦ともいう。
地沢臨は二陽下に長じる卦であり、風地観は二陽上に衰える卦である。
したがって、今は地沢臨で陽が長じて吉であっても、陰陽消長は天地の定理にして、いつかは陽が衰え、陰が長じて風地観となるときも来るのであって、そうなったら凶となることも有るから、やるべきことは早くやってしまわないといけないのである。
だから、八月に至りて凶なること有らん、という。

彖伝(たんでん) 彖伝は卦辞(彖辞)の解説で、孔子作と伝わる。

彖曰(たんに いわく)(りんは)剛浸( ごう すすんで ) (しこうして ) (ちょうず)(よろこんで ) (しこうして ) (したがう)(ごう ) (ちゅうにして ) (しこうして ) (おうあり)

【書き下し】彖に曰く、臨は、剛浸んで而して長ず、説んで而して順う、剛中にして而して応あり、

消長生卦法によれば、地雷復の一陽剛の上にまた一陽剛が長じたのがこの地沢臨だから、剛浸んで而して長ずと云う。
別の角度から観ると、下卦の兌は悦ぶ、上卦の坤は順うだから、説んで而して順うと云う。
また、成卦の主爻の九二は陽剛で中を得ていて、六五の君と陰陽相応じているから、剛中にして而して応ありと云う。

大亨(おおいに とおるに) (もってするは ) (ただしきを)(てんの)道也(みちなればなり )

【書き下し】大いに亨るに正しきを以ってするは、天の道なればなり、

大亨以正は、卦辞に元亨利貞とある部分の、元は大に、利貞は以正と字を置き換えてわかりやすくしたものであって、その正しきを以って大いに亨るというのは、それが天の道だからである。

(いたりて) 八月( はち がつに )(ありとは ) (きょうなること)(しょうすること ) (ざるとなり ) (ひさしから)也、

【書き下し】八月に至りて、凶なること有りとは、消すること久しからざるとなり、

陰陽消長の道は天地の定理にして遁れることができないものである。
今この地沢臨の卦は二陽浸み長じて、言うなれば大吉の象だが、いつまでもそれが続くわけではない。地雷復が旧暦十一月、この地沢臨が十二月、一月が地天泰、二月が雷天大壮と陽は長じるが、やがては陰が浸み、陽が衰えて消する時になり、この順で行けば旧暦八月には風地観で、陰の増長に残った二陽も風前の灯の凶となるのである。
今は陽が浸み長じる時であっても、天地の定理として、やがては陽が衰え消する時になるのだということを忘れてはいけない。

 

象伝(しょう でん ) 卦の(しょう)=形の解説で、大象(たいしょう)とも呼ばれ、彖伝同様に孔子の作と伝わる。

象曰(しょうに いわく)澤上(さわの うえに) (あるは)()(りんなり)君子( くん し ) (もって ) (きょう)()(どうすること ) (しゅうを)( なく)(きわまり)( よう)()(ほすること ) (たみを)( なし)(かぎり)

【書き下し】象に曰く、沢の上に地有るは、臨なり、君子以って衆を教道すること窮り无く、民を容保すること畺り无し、

下卦の兌を口とし身として、上卦の坤を道とし衆人とする。
教とは口で言って教えること、道とは自分の身を以って行うこと、この二つを衆に教えることを極まることなく続けよ、というのが君子以って衆を教道すること窮り无く、であって、また上卦の坤を民として受け容れるとして、君子が民を仁愛して包容し、保養して教化することが限りないようにせよ、と教える。

爻辞( こう じ ) 〜周公旦の作と伝わる。象曰以下は孔子の作と伝わる象伝。

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━○

初九( しょ きゅうは)咸臨(かんじて のぞむ)(ただしくして ) (きちなり)

【書き下し】初九は、咸じて臨む、貞しくして吉なり、

象曰(しょうに いわく)咸臨(かんじて のぞむ ) (ただしくして ) (きちなりとは)志行( し こう ) 正也(ただしければなり)

【書き下し】象に曰く、咸じて臨む貞しくして吉なりとは、志行正しければなり、

初九は六四と陰陽正しく応じている。
六四は上より初九に臨み、初九し下より六四を臨んでいる。
これは、初と四とが互いに感じ応じて相臨む様子である。
もとより六四は宰相執政の位に在って、柔正の徳が有る。
初九は正位を得て剛明の才が有る。
これは、在下の賢者である。
したがって六四の爻は、初九の才力が有るのに感じて、これに臨めば、初九の爻は、六四の富貴威勢ではなく、よく士に降る徳に感じて、これに望む。
だから、咸じて臨む、という。
このときに当たって、初九在下の賢者は、一に貞正の道義を以って進退し、国政を輔け行おうと欲するときには大吉の道である。
しかし、その意念に名利を貪り、逢迎足恭の情を抱き、六四の権門に媚び諂う心が有るときには、志も行いも正しからずして大凶である。
だから、貞しくして吉なり、という。

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━○
初九━━━

九二(きゅう じは )咸臨(かんじて のぞむ)(きちにして) ( なし )(ざること) (よろしから)

【書き下し】九二は、咸じて臨む、吉にして利ろしからざること无し、

象曰(しょうに いわく)咸臨(かんじて のぞむ)(きちにして ) (なしとは ) (ざること ) (よろしから)(もってなり ) (したがうを )(めいに)也、

【書き下し】象に曰く、咸じて臨む、吉にして利ろしからざること无しとはも命に順うを以ってなり、

九二は成卦の主爻にして臣の位に居る。
もとより剛中の才徳が有り、六五柔中の君とは陰陽正しく応じている。
これは、ニ五相咸じ君臣相互に臨むの義である。
だから、咸じて臨む、という。
さて、九二成卦の主爻として、臣位に当たって剛中の才徳を以って六五柔中の君には陰陽正しく応じて輔弼するわけだが、実に咸臨の誠忠至極な者であって、これは天命に順がっていることである。
だから、吉にして利ろしからざること无し、という。

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━○
九二━━━
初九━━━

六三( りく さんは)(あまんじて ) (のぞむ)( なし)(ところ)(よろしき)(すでに ) (うれえば )(これを)( なし)(とが )

【書き下し】六三は、甘んじて臨む、利ろしき攸无し、既に之を憂えば、咎无し、

象曰(しょうに いわく)(あまんじて ) (のぞむとは)(くらい ) (ざればなり )(あたら)也、(すでに ) (うれえばとは )(これを)(とがをして ) (ざれよとなり ) (ちょうぜしめ)也、

【書き下し】象に曰く、甘んじて臨むとは、位当たらざればなり、既に之を憂えばとは、咎として長ぜしめざれよとなり、

五味には、しょっぱい、すっぱい、にがい、からい、あまい、とあるが、このうちのあまい味は誰しもが好み、にがい味は誰しもが眉を顰めるものである。
これを以って、古来、甘さは楽しみに喩え、にがいは苦いと書くように、苦しみに喩えている。
さて、この六三は陰柔不中不正なので、その志も行いも共に道を失い、ただ利欲燕楽をのみ臨む者である。
だから、甘んじて臨む、という。
そもそも飽食暖衣で逸居燕楽をのみ好み臨むのは禽獣と同じであって、君子の大いに恥じとするところである。
だから、利ろしき攸无し、という。
しかし、寧居逸楽を好み臨むのは、人の情の常である。
開き直らず、その非を知って早急にこれを憂い、悔い改め、過失が大きくならないうちに志を改め、道に復るべきである。
咎められることをやってしまっても、長くそのままにしておかず、速やかに改めれば、咎められることはないものである。
だから、既に之を憂えば、咎无し、という。

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━○
六三━ ━
九二━━━
初九━━━

六四( りく しは )至臨(いたって のぞむ)( なし)(とが )

【書き下し】六四は、至って臨む、咎无し、

象曰(しょうに いわく)至臨(いたって のぞむ ) (なしとは)(とが )(くらい ) 當也(あたるなり  )

【書き下し】象に曰く、至って臨む咎无しとは、位当たるなり、

至るとは、我より彼に至るということであって、親切の意である。
今、臨のときに当たって、六四の宰相執政の大臣は柔正を得ている。
これは、己のために謀ることならば咎有りの義だが、国家のために心身を労して謀ることならば、咎無きことを得る、ということである。
もとより六四は柔正を得た宰相なので、自分の才力不足をよく省み知って、その正応の在下初九の陽剛が賢徳なることを察し、これに下り、その情意親切にこれに至り臨み初九に請い求めて、以って六四自身が及び足りないところを補い助けてもらい、国政を補佐させるのである。
だから、至って臨む、咎无し、という。

上六━ ━
六五━ ━○
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━

六五( りく ごは )(つかさどって ) (のぞむ)大君( たい くんの)(ぎなり)(きちなり)

【書き下し】六五は、知どって臨む、大君の宜なり、吉なり、

象曰(しょうに いわく)大君( たい くんの)(ぎなりとは)(おこなうの ) (ちゅうを)(いいなり)也、

【書き下し】象に曰く、大君の宜なりとは、中を行うの謂いなり、

今、臨のときに当たって、六五の君は柔中の徳を以って、九二剛中の賢臣に陰陽正しく応じている。
したがって、六五の君上は、よく国政に親しく臨み、よく賢臣を知ってこれを貴び重んじ委ね任せ、また、天下万民に臨むには柔中の仁徳を以ってする。
これは、よく四海を統べ治め、つかさどり臨む君と称すべきである。
だから、知どって臨む、という。
このような君上には中行の徳があり、実に君としての道において、誠に理に適っていると称えられるものである。
だから、大君の宜なり、吉なり、という。
大君とは、君徳の大なるを褒め称えた言葉である。

上六━ ━○
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━

上六(じょう りくは)敦臨(あつく のぞめり)(きちなり)( なし)(とが )

【書き下し】上六は、敦く臨めり、吉なり、咎无し、

象曰(しょうに いわく)敦臨(あつく のぞむの)(きちなりとは)(こころざし ) (あればなり )(うちに)也、

【書き下し】象に曰く、敦く臨むの吉なりとは、志内に在ればなり、

この爻は臨の至極に在る。
これは臨むことの至極にして、敦い義である。
敦いとは熱心なことである。
だから、敦く臨めり、という。
そもそも道は臨むことが至って敦いことを要する。
適当に臨むだけならば、成功することは難しい。
しかし内に志を堅持して、敦く臨めば、成功するものである。
だから、吉なり、という。
しかし、その臨むということにも正邪の二途がある。
道義に臨むときには、必ず得ることが有って咎はないが、利欲非道のことに臨むときには咎を免れないものである。
だから、道義に臨むことを推奨する意味も込めて、咎无し、という。

前の卦=18山風蠱 次の卦=20風地観

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01.乾為天 02.坤為地 03.水雷屯 04.山水蒙 05.水天需 06.天水訟 07.地水師 08.水地比 09.風天小畜 10.天沢履 11.地天泰 12.天地否 13.天火同人 14.火天大有 15.地山謙 16.雷地予 17.沢雷随 18.山風蠱 19.地沢臨 20.風地観 21.火雷噬嗑 22.山火賁 23.山地剥 24.地雷復 25.天雷无妄 26.山天大畜 27.山雷頤 28.沢風大過 29.坎為水 30.離為火 

31.沢山咸 32.雷風恒 33.天山遯 34.雷天大壮 35.火地晋 36.地火明夷 37.風火家人 38.火沢睽 39.水山蹇 40.雷水解 41.山沢損 42.風雷益 43.沢天夬 44.天風姤 45.沢地萃 46.地風升 47.沢水困 48.水風井 49.沢火革 50.火風鼎 51.震為雷 52.艮為山 53.風山漸 54.雷沢帰妹 55.雷火豊 56.火山旅 57.巽為風 58.兌為沢 59.風水渙 60.水沢節 61.風沢中孚 62.雷山小過 63.水火既済 64.火水未済

ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。
漢字は原則として新字体で表記しています。
易の初歩的なことについては易学入門をご覧ください。
また、六十四卦それぞれの初心者向け解説は無料易占いのページをご覧ください。
占いながら各卦の意味がわかるようになっています。

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最終更新日:令和04年04月03日 学易有丘会
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