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03水雷屯 すいらいちゅん「旧約聖書」天地創造1日目を構成する5卦(未済・乾・坤・屯・蒙)のひとつ。詳細はコチラ。 屯 (ちゅん) 八卦の
もし、震雷が上に上り、坎の雲が雨となって下に降る時は、この欝蟄の気も解き放たれて散り、雨の潤いも草木百物に充ち及ぶことになる。 また、下卦を内、上卦を外とすれば、坎は険難、震は動くだから、坎の険難の中で動き、未だその中から出られないことを示している。 また、合体の象を以って見るときは、九五の君は坎の険難の中に陥り、初九の侯が下に在って震の勢いを得た様子。 また、来往生卦法では、この水雷屯は水地比から来たものとする。
【書き下し】屯は、元いに亨る、貞しきに利ろし、往く攸有るに用うる勿れ、侯を建てるに利ろし、 ここに、元いに亨る、とあるのは、今すぐ願いが叶う、という意味ではない。 そのためには、やるべきことはきちんと貞正にやること。 ただし、屯難のときである。 また、九五の君位からすれば、この「往く攸有るに用うる勿れ」は、初九を排除しようとしてはいけない、と言っていることにもなる。 |
【書き下し】彖に曰く、屯は剛柔始めて交わり、而して難み生ぜり、 易の卦の序次は、純陽の乾にて天の道がすでに始まり、純陰の坤にて地の道がすでに成ったところで、次には陰陽柔剛が始めて交わり合して、人界の危うきところがまさに開かれようとするときに当たり、難みが生ずるものである。 【書き下し】険>みの中に動きうるは、大いに亨るに正しきを以ってすればなり、 険難の中に陥っていても、よく正しきを守って乱れず、怠ることなく勉め励めば、やがてはその憂患険難から解放されるときを得て、その道は大いに亨通するのである。 【書き下し】雷雨の動き満ち盈ちて、天造艸昧にあれば、侯を建てるに宜しく、而れども不だ寧からず、 この卦は震雷坎雨の象義があるので、天地間の大作用として雷雨之動満盈と云う。
【書き下し】象に曰く、雲雷あるは屯なり、君子以って経綸す、 経は機織りのときの縦糸、綸は横糸のことで緯ともいう。 |
上六━ ━ 【書き下し】初九は、盤桓たり、貞に居るに利ろし、建ちて侯たるに利ろし、 【書き下し】象に曰く、盤桓すと雖も、志行は正しかれよとなり、貴きを以って賤しきに下る、大いに民を得たりとなり、 盤桓とは、進もうとして進み難く、立ち尽くす様子。 確かに、初九と六四は応じているが、この場合は、相助けるのではなく、却って傷害する者なのである。 そもそもこの初九は成卦の主爻であり、陽剛の才能力量があり、それでも衆陰爻の最下に居る。 なお、卦辞には、九五の君の立場で、初九を取り立てて侯とするべきだとして、侯を建てるに利ろし、とあるが、初九はその取り立てられる侯なので、その侯の立場で、建ちて侯たるに利ろし、というのである。
上六━ ━ 【書き下し】六二は、屯如たり邅如たり、馬に乗りて班如たり、寇するに匪ず婚媾せんとす、女子貞しくして字せず、十年にして乃ち字ゆるす、 【書き下し】象に曰く、六二の難みとは、剛に乗ればなり、十年にして乃ち字ゆるすとは、常に反ればなり、 屯如とは、屯難のとき、進み難きとき、といった意である。 さて、この六二の爻は、臣の位に居て、九五に応じてはいる。 六二を女子とするときには、中正を得ているので貞正な女子とする。 このとき、初九の男子が、比爻であることを以って、六二を娶って配偶にしようと言い寄って来る。 十年にして乃ち字ゆるす、というのは、屯難の障害が解けるのを待って、正応の九五に嫁ぐ、ということである。
上六━ ━ 【書き下し】六三は、鹿に即き、虞无し、惟り林中に入る、君子は幾をみる、舎むるに如かず、往くは吝し、 【書き下し】象に曰く、鹿に即き虞无しとは、禽に従うを以ってなり、君子はこれを舎めよ、往くは吝しとは、窮すればなり、 六三は屯難のときに当たって、その身は陰柔不才にして、その志と行いとは不中不正であり、なおかつ内卦の極に居る。 この六三は内卦の震の極であるが、同時に三爻〜五爻に至る倒震の極でもある。 さて、鹿を追って勝手にひとりで林中に入るのは、言うなれば愚か者である。
上六━ ━ 【書き下し】六四は、馬に乗りて班如たり、婚媾を求めらるれば、往きて吉なり、利ろしからざる无し、 【書き下し】象に曰く、求められて而して往くとは、明らかなればなり、 六四は陰柔不才である。 とは言っても、屯難のときではあるので、六四の陰爻はその応爻の助けを求めることが、至って急切である。 さて、六二の正応の夫九五は、外卦坎の険難の主爻であって、ここへ往くのは、わざわざ険難の中に飛び込むことである。
上六━ ━ 【書き下し】九五は、其の膏に屯む、小には貞しくして吉、大には貞くするは凶なり、 【書き下し】象に曰く、其の膏に屯むとは、施し未だ光いならざるなり、 九五は君位に居る。 さて、今は屯難のときだが、それでも日常の小さな事ならば、貞正を守っていれば、通じて吉である。 日常のことがなんとかなるとしても、君主としては、屯難をそのままにしてはおけない。
上六━ ━○ 【書き下し】 上六は、馬に乗りて班如たり、血に泣くこと漣如たり、 【書き下し】象に曰く、血に泣くこと漣如たりとは、何んぞ長かる可きとなり、 上六は、坎の険難の卦の極に居るが、ここはまた、全体の極でもある。 |
究極の易経解説 メニュー 01.乾為天 02.坤為地 03.水雷屯 04.山水蒙 05.水天需 06.天水訟 07.地水師 08.水地比 09.風天小畜 10.天沢履 11.地天泰 12.天地否 13.天火同人 14.火天大有 15.地山謙 16.雷地予 17.沢雷随 18.山風蠱 19.地沢臨 20.風地観 21.火雷噬嗑 22.山火賁 23.山地剥 24.地雷復 25.天雷无妄 26.山天大畜 27.山雷頤 28.沢風大過 29.坎為水 30.離為火 31.沢山咸 32.雷風恒 33.天山遯 34.雷天大壮 35.火地晋 36.地火明夷 37.風火家人 38.火沢睽 39.水山蹇 40.雷水解 41.山沢損 42.風雷益 43.沢天夬 44.天風姤 45.沢地萃 46.地風升 47.沢水困 48.水風井 49.沢火革 50.火風鼎 51.震為雷 52.艮為山 53.風山漸 54.雷沢帰妹 55.雷火豊 56.火山旅 57.巽為風 58.兌為沢 59.風水渙 60.水沢節 61.風沢中孚 62.雷山小過 63.水火既済 64.火水未済 |
ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。 |
最終更新日:令和04年03月20日 学易有丘会
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