Tweet |
29坎為水 かんいすい「旧約聖書」ノアの洪水神話を構成する3卦(坎・離・咸)のひとつ。詳細はコチラ。 坎 八卦の坎(かん)を重ねた形。 この卦は、八卦の
【書き下し】坎は、孚有れば惟り心のみ亨る、行けば尚ばれること有り、 この卦は、重なる険難である上に、二五の君臣共に険難の中に陥っている様子。 こんなときだからこそ、九二剛中の臣としては、九五の君の元へ、その険難を救いに行き、よく国家を補佐するときにはその功績を認められ、九五の君から格別の引き立てを受けられる。 なお、この卦は二陽剛が上下に別れて対峙している形だが、これは一国二君の様子でもある。 |
【書き下し】彖に曰く、坎は、険なるなり、水流れて而して盈たざるなり、 険という字には、険難と陥没の義とを具えていて、この卦の象にも険難と陥没との両義を具えているので、坎は険なりと云う。 【書き下し】孚有りとは、険を行って、而して其の信を失わざるなり、 水は険しい山岳から湧き出て流れ、集まっては川となり、或いは滝となって落下し、或いは岩に阻まれて分かれ、或いは他の流れと合わさって渦となって翻弄され、さらにいろいろな険難があっても最終的には海に注ぐ。 【書き下し】維り心のみ亨るとは、剛中なるを以ってなり、行けば尚ばれること有りとは、往して功有るなり、 この 【書き下し】天の険は升る可からず、地の険は山川邱陵なり、王公険を設けて、以って其の国を守る、坎の時の用、大いなるかな、 天の険は、梯子をかけても登れないことであり、地の険は山川丘陵など人が安易に行き来するのを妨げる場所である。
【書き下し】水臶び至るは、坎なり、君子以って徳行を常にし、教事を習わすべし、 坎は水である。水は傾いていれば流れ、平らかであれば流れないので、天地間の至平至公の準則たるものである。これを以って坎を通じて平らかにして中実の信の卦とする。 |
上六━ ━ 【書き下し】初六は、習坎なり、坎窞に入れり、凶なり、 【書き下し】象に曰く、習なれる坎より坎に入るとは、道を失って凶なるなり、 習とは、雛鳥が羽の使い方を練習するためにバタバタ羽ばたくことであって、その様子から、同じことを重ね繰り返すことを意味する。
上六━ ━ 【書き下し】九二は、坎にあって険み有り、求めば小しく得ん、 【書き下し】象に曰く、求めば小しく得るとは、中を出ざればなり、 坎は穴である。
上六━ ━ 【書き下し】 六三は、来るも之くも坎坎たり、険みにあって且つ枕えたり、坎窞に入れり、用いること勿れ、 【書き下し】象に曰く、来るも之くも坎坎たりとは、終わりに功无きなり、 来之とは、進むことと退くこと、といったことである。
上六━ ━ 【書き下し】六四は、尊酒二簋あり、弐えるに缶を用う、約納れること牖よりすとも、終りに咎无し、 【書き下し】象に曰く、尊酒二簋ありとは、剛柔の際わりなればなり、 尊とは酒器のこと。 さて、君上と何か約束を交わすことがあるときは、礼に則り正面玄関から入り、いろいろな手続きを経て、君上と会うものである。
上六━ ━ 【書き下し】九五は、坎盈たしめざれ、既に平らかに祇れば、咎无し、 【書き下し】象に曰く、坎盈たしめざれよとは、中にして大ならざれよとなり、 九五は非常大険難の時に当たって君の位に居る。 念のために付け加えておくが、これは江戸時代の医学に基づいた発言である。
上六━ ━○ 【書き下し】上六は、係るに徽纆を用い、叢棘にゥく、三歳まで得ず、凶なり、 【書き下し】象に曰く、上六は道を失えり、凶なること三歳なるなり、 徽纆は縄のこと。 |
究極の易経解説 メニュー 01.乾為天 02.坤為地 03.水雷屯 04.山水蒙 05.水天需 06.天水訟 07.地水師 08.水地比 09.風天小畜 10.天沢履 11.地天泰 12.天地否 13.天火同人 14.火天大有 15.地山謙 16.雷地予 17.沢雷随 18.山風蠱 19.地沢臨 20.風地観 21.火雷噬嗑 22.山火賁 23.山地剥 24.地雷復 25.天雷无妄 26.山天大畜 27.山雷頤 28.沢風大過 29.坎為水 30.離為火 31.沢山咸 32.雷風恒 33.天山遯 34.雷天大壮 35.火地晋 36.地火明夷 37.風火家人 38.火沢睽 39.水山蹇 40.雷水解 41.山沢損 42.風雷益 43.沢天夬 44.天風姤 45.沢地萃 46.地風升 47.沢水困 48.水風井 49.沢火革 50.火風鼎 51.震為雷 52.艮為山 53.風山漸 54.雷沢帰妹 55.雷火豊 56.火山旅 57.巽為風 58.兌為沢 59.風水渙 60.水沢節 61.風沢中孚 62.雷山小過 63.水火既済 64.火水未済 |
ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。 |
最終更新日:令和04年04月03日 学易有丘会
Copyright Heisei12th〜Reiwa2nd(2660〜2680) (C)2000〜2020 GakuEki-UQkai
当サイトの内容はすべて無断転載を禁止します