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漢文として楽しむ論語 微子第十八 6/11

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微子第十八

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6(466) 長沮桀溺…

長沮桀溺、耦而耕、孔子過之、使子路問津焉、

【書き下し】
長沮桀溺、耦して耕す、孔子これを過る、子路をして津を問わ使む、

【訳】
長沮と桀溺が並んで農地を耕していた。孔子はその前を過ぎるとき、子路に川の渡しはどこなのかを、その二人に聞かせた。

【解説】
長沮と桀溺は共に楚の隠者。
耦は並んでといった意。
津は港、川の渡し船が発着する場所のこと。
孔子は楚より蔡に行く途中でこの二人が農地を耕すそばを過ぎったのだ。

長沮曰、夫、執輿者爲誰、子路曰、爲孔丘、曰、是魯孔丘與、曰、是也、曰、是知津矣、

【書き下し】
長沮が曰く、夫の輿を執る者は誰と為す、子路の曰く、孔丘と為す、曰く、是、魯の孔丘か、曰く、是なり、曰、是、津を知らん、

【訳】
長沮が言った。あの車の手綱を握っているのは誰ですか。子路が言った。孔丘=孔子です。長沮が言った。魯の孔丘か。子路が言った。そうです。長沮が言った。あの孔子なら、川の渡しの場所くらい知っていそうなものだが。

【解説】
物知りだと聞く孔子が津(港)の場所も知らないのかと、皮肉を込めて、答えなかったのだ。

問於桀溺、桀溺曰、子爲誰、曰、爲仲由、曰、是魯孔丘之徒與、對曰、然、

【書き下し】
桀溺に問う、桀溺が曰く、子は誰と為す、曰、仲由と為す、曰、是、魯の孔丘が徒か、対えて曰く、然り、

【訳】
次いで仲由=子路は桀溺に質問した。桀溺が言った。あなたは誰ですか。子路が言った。仲由=子路です。桀溺が言った。魯の孔丘の弟子か。答えて子路が言った。そうです。

【解説】
長沮に津の場所を教えて貰えなかったので、、子路は桀溺に質問したのだ。

曰、滔滔者、天下皆是也、而誰以易之、且而與其從辟人之士也、豈若從辟世之士哉、耰而不輟、

【書き下し】
曰く、滔滔たる者、天下に皆是なり、而るを誰と以にか之を易えん、且た而じ、其の人を辟くるの士に従わんよりは、豈、世を辟くる之に従うに若んやといって、耰いて輟まず、

【訳】
桀溺が言った。水は滔々と流れて元の場所には戻らないものだが、今、天下の諸国は皆その流れに流されて乱を起こし、諸人みな悪を行い、立ち戻らない。そんな中、どこの君臣と共にこの乱世を変易して治世にしようと云うのか。あなたは、辟人ばかりの孔子に従って空しく諸国を周るよりは、世を辟けている我が友がらに従って身を引いて潔くするほうがどれだけよいか、と言って、種を蒔いた上に土をかける農作業を続けた。

【解説】
辟人とは、この人と合わなければ去って他の人につくこと。
辟世とは、世を逃れて仕えないこと。
耰は、種を蒔いて、その上に土をかけること。
輟は、止めるという意。

子路行以告、夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣、吾非斯人之徒與、而誰與、天下有道、丘(不與易、

【書き下し】
子路行きて以って告ぐ、夫子憮然として曰く、鳥獣には与に群を同じくす可からず、吾ね斯の人の徒と与にするに非ずして、誰と与にかせん、天下に道有らば、丘、与に易えじ、

【訳】
子路は孔子のところへ行って、渡しの場所を教えて貰えなかったことを告げた。孔子は憮然として嘆いて仰った。人は野山に隠れて鳥獣の群と同じように生活はできない。私はこの人の徒と共にすることはできないし、人を断ち、世を逃れることを潔いとは考えない。人は人と共に與すべきだからこそ世の無道を観るに忍びなく、道を以ってこれを変易しようと思うから、諸国を巡るのだ。もし天下に道が有るときならば、こんな苦労して諸国を巡って世の中を変えようなんて考えない。

【解説】
これは滔々者天下皆是也云々の謗りに答えたもの。

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最終更新日:令和06年08月08日 学易有丘会
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