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漢文として楽しむ論語 季氏第十六 3/4トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 7(427) 孔子曰君子有三戒…
○ 【書き下し】孔子の曰く、君子に三つの戒めあり、少きときは、血気未だ定まらず、之を戒むること色に在り、其の壮んなるに及んでは、血気方に剛し、之を戒むること闘に在り、其の老いたるに及んでは、血気既に衰う、之を戒むること得るに在り、 【訳】先生が仰った。君子には身を終うるまでに三つの戒めがある。若い時は血気が浮き漂って好みが移りやすく、自分を見失い易い。それを戒めるには、何事も派手や華美を慎み、言うなればチャライことをしないことだ。壮年になると血気が強く剛くなり、人より優ることを好むようになる。いわゆる出世欲だ。自分のことは棚に上げて、闘争心を燃えたぎらせ、出世のためにあれこれ策を巡らしたりもするだろう。だからこそ、それを戒めて、闘争心を抑えるのだ。老年になると血気は衰えるが、その分、いろいろな物を欲っする思いが大きくなる。だからその戒めは、なんでも得ようとするのを抑制するところにあるのだ。 【解説】少之時はおおよそ三十歳以下、壮は三十歳以上、老は五十歳以上を指す。血は陰の潤い、気は陽の勢い。なお色については、性欲のことと解釈する説もある。 8(428) 孔子曰君子有三畏…
○ 【書き下し】孔子の曰く、君子に三つの畏れ有り、天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る、小人は天命を知らずして畏れず、大人に狎れ、聖人の言を侮る、 【訳】先生が仰った。君子には三つの畏れることがある。天命を畏れ、徳があり位がある人を畏れてその教えに従い、五経にある聖人の言葉を畏れる。小人は天命を知らないので、畏れ憚ることはなく、賢者の教えを用いずにこれを謗り、君長を欺いて密かに法を犯し、聖人の言葉を無用のこととして討ち捨てる。 【解説】天命とは運命といったようなこと。自分がこの社会で何をするべきかは運命によって決まる。その運命に逆らわず徳性を尊び磨くのが君子である。大人とは、徳があり位がある賢者。小人は目先のことだけで生きているので、この社会での自分のするべき役割や、社会がどうあるべきかについては全く考えないから、自分の運命すらも知らないのだ。 9(429) 孔子曰生而知之者上也…
○ 【書き下し】孔子の曰く、生まれながらにして之を知る者は、上なり、学んで之を知る者は、次なり、困んで之を学ぶは、また其の次なり、困んで学びず、民斯れを下と為す、 【訳】先生が仰った。生まれながらにして道理を知り行う者は最上の聖人である。学んで道理を知り行う者は次の賢者である。なかなか理解できずに困しんでも、それでも必死に学ぶのは、その次の学者である。なかなか理解できずに困んだら、嫌になって学ばないのは最低だ。 【解説】人の気質は同じではないこと、概ねこの四等がある。 10(430) 孔子曰君子有九思…
○ 【書き下し】孔子の曰く、君子に九つの思い有り、視るには明らかならんことを思い、聴くには聡からんことを思い、色は温やかならんことを思い、貌は恭しからんことを思い、言は忠ならんことを思い、事は敬せんことを思い、疑いは問わんことを思い、忿はなんを思い、得るを見ては義を思う、 【訳】先生が仰った。君子は日々常に思って心がけていることが九つある。視るときはきちんと明らかにすることを思い、聴くときはボヤっとしないで聡く神経を集中することを思い、普段の顔色は温和でいることを思い、態度は常に恭しくすることを思い、発言は誠心を尽くすことを思い、行動は慎み敬い過ちがないことを思い、疑問があれば師友に質問することを思い、怒りに身を忘れれば患難があることを思い、何かを得るときは必ず義に適っているか否かを詳らかにして不義ならば取らないことを思う。 【解説】何事においても誠実であるために、日常的に注意する点としてこの九つを挙げたのだ。 11(431) 孔子曰見善如不及…
○ 【書き下し】孔子の曰く、善を見て及ばざる如くし、不善を見て湯を探るが如くす、吾その人を見つ、吾その語を聞いつ、 【訳】孔子が仰った。善を好むに誠ある人は、善人が善を行うのを見て、自分はとても及ばないと思い、不善すなわち悪を見ると素早く遠ざかる。私はそういう人を見たことがあるし、そう語るのを聞いたこともある。 【解説】探湯は熱湯に手を触れるとすぐに引っ込めるように、素早く遠ざかること。 【書き下し】隠居して以ってその志を求め、義を行って以ってその道を達す、吾その語を聞いつ、未だその人を見ず、 【訳】天下に道が行われないときは、道を求める志が揺れないように身を守って隠居し、天下に道がある時は、出で仕えて君臣の義を行い、かねて志し求めた道に通達して、世に施す。私はこう語るのを聞いたことはある。しかし、実際にそうした人は、未だ見たことがない。 【解説】未だその人を見ずというのは、そういう人が出て欲しいという願いが込められている。 |
最終更新日:令和05年01月28日
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