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漢文として楽しむ論語 憲問第十四 1/5トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 1(333) 憲問恥…
○ 【書き下し】憲、恥を問う、子の曰く、邦に道有るときも穀し、邦に道無きときも穀するは、恥じなり、 【訳】憲が恥について質問した。先生が仰った。国に道=正しい政事が行われているときに、積極的に国のために尽くすのではなく、ただ禄だけ貰って特段何もしないこと、国に正しい政事が行われていないとき、なんとかしようともせず、そのまま禄を貰っていること、これが恥だ。 【解説】憲は孔子の弟子、名は原、字は子思(孔子の孫の字も子思だが、別人)。穀は禄、公から受け取る給与のこと。 2(334) 克伐怨欲不行焉…
○ 【書き下し】克伐怨欲行われざるを、以って仁と為す可し、子の曰く、以って難しと為す可し、仁は則ち吾知らず、 【訳】人に勝つことを好み、自分の有り様を自慢し、自分が人より劣っていることについては、怨んだり貪り欲するといったことを行わないのが、仁ということですよね。先生が仰った。克伐怨欲の四つをよく自制して行わないようにするのはなかなか難しいことではある。しかし仁について、本当のところは私もよく知らない。 【解説】克は人に勝つことを好むこと、伐は自分の有り様を自慢すること、怨はうらむこと、欲は貪ること。克と伐は自分が他人より優れていると思うことから生じる病、怨と欲は自分が他人より劣っていると思うことから生じる病である。孔子は自らのことを問われたと察知し、仁についてはよく知らないとはぐらかしたのだ。 3(335) 子曰士而懷居…
○ 【書き下し】子の曰く、士として居るを懐うは、以って士と為るに足らず、 【訳】先生が仰った。道を求める士が、その身を安んじ居りたいと思うのであれば、士とするには足りない。 【解説】居とは身を安んじる所。士は常に道を求めて努めるのであって、安んじる暇はない。 4(336) 子曰邦有道…
○ 【書き下し】子の曰く、邦、道有るときは、言を危うくし、行いを危うくす、邦、道無きときは、行いを危うくし、言、孫う、 【訳】先生が仰った。国に道があるときは、危難に直面したときのように細心の注意を払って言行一致で誠実に尽くさないといけない。国に道がないときは、細心の注意を払って誠実を尽くして行動することは変わらないが、言うことはそれが正論であっても、時として敢えて尽くさず、謙遜を以って恭しく黙って順ったほうがよいこともある。 【解説】危うしとは、危難に直面したときのように細心の注意を払う必要がある、ということ。孫うとは、常よりもさらに恭しく謙遜することであって、おもねりへつらうことではない。 5(337) 孔子有コ者必有言…
○ 【書き下し】子の曰く、徳有る者は必ず言有り、言有る者は必ずしも徳有らず、仁者は必ず勇有り、勇者は必ずしも仁有らず、 【訳】先生が仰った。徳の有る者は、内に道理を積んでいるので、その道理に照らして問題があれば必ず発言するものだが、問題を見つけて発言する者が、必ずしも徳が有るとは限らない。仁者は心に私利私欲がないので、義を見れば必ず勇んで行動をするが、勇者は、ただ血気盛んなだけの場合もあり、必ずしも仁が有るとは限らない。 【解説】有徳者はまだ仁者と呼べるほどではない。有徳者は言うのが精一杯だが、仁者はすぐ行動を起こす勇気があるのだ。言うは易く、行うは難き、である。 6(338) 南宮适問於孔子…
○ 【書き下し】南宮适、孔子に問いて曰く、羿善く射す、奡舟を盪す、倶に其の死を得ず、然り、禹稷は躬ら稼して天下を有てり、 【訳】南宮适が孔子に質問して言った。羿は弓矢で射るのが上手く、奡は水に浮かぶ舟を陸に押し上げるほどの力があったが、ともに天寿を全うすることはできずに殺された。然るべきことでしょう。禹や稷は自ら農業を盛んにして天下を保った。 【解説】南宮适は、姓は南容、名は适、字は子容。羿は夏の時代の人物で、弓矢を射るのが上手かった。その羿は 【書き下し】夫子答えず、南宮适出ぬ、子の曰く、君子哉な若き人、徳を尚っとべるかな若き人、 【訳】孔子は何も答えなかった。やがて南宮适が退出した。先生が仰った。彼は本当に君子だ。彼は本当に徳を尊んでいる。 【解説】孔子は南宮适が己を褒める意を察し、何も答えなかったのだ。若き人は南宮适を指している。 7(339) 子曰君子而不仁者有矣夫…
○ 【書き下し】子の曰く、君子にして仁あらざる者は有らん、未だ小人にして仁ある者は有らず、 【訳】先生が仰った。君子の中にも不仁な者がいることだろう。しかし小人の中には仁がある者はいない。 【解説】君子は仁を志すとしても、ほんの僅かな間でも心から仁を忘れることがあれば、それは不仁である。 8(340) 子曰愛之能勿勞乎…
○ 【書き下し】子の曰く、愛しては之を能く労せしむること勿けんや、忠あらば能く誨うること勿けんや、 【訳】先生が仰った。子を愛する心に惑いがない者は、その子に苦労をさせて鍛えずにはいられないものだ。君に忠ある心が誠なる者は、その君が道を誤らないように教誨せずにはいられないものだ。 【解説】現代でも、苦労せずに育った人間はロクな者にならないし、組織のトップが間違ったことをしていても目をつぶり、へつらい忖度しているようでは、その組織に未来はないものだ。 9(341) 子曰爲命…
○ 【書き下し】子の曰く、命を為るに、裨ェこれを艸創し、世叔これを討論し、行人の子羽これを修飾し、東里の子産これを潤色す、 【訳】先生が仰った。外交文書を作るときは、まず裨ェが草稿を創り、世叔が故実典拠を調べて適切か否かを論じ、使者となる子羽が文章の体裁を整え、東里に住む子産が文章に色艶をつけて格調高くした。 【解説】これは |
最終更新日:令和02年10月21日
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