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漢文として楽しむ論語 子路第十三 3/30

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子路第十三

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3(305) 子路曰衞君待子而爲政…

子路曰、衞君待子而爲政、子將奚先、子曰、必也正名乎、

【書き下し】
子路の曰く、衛君、子を待って政を為せば、子、将に奚れをか先にせんとする、子の曰く、必ず名を正しくせんか、

【訳】
子路が言った。衛君が孔子が来るのを待って共に政事をするとしたら、先生は何から手をつけますか。先生が仰った。先ず必ずやることは、名を正しくすることだ。

【解説】
これは孔子が魯の哀公十一年、楚より衞に還った時のことである。
衛君とは、出公輒(しゅっこうちょう)のこと。
衛の靈公の太子蒯聵(かいがい)は、夫人南子の淫行を憎んで殺そうとしたが果たせずに出奔した。
靈公は子の(えい)を立てて位を伝えようとするが、郢は辞して受けず、靈公卒っして夫人は蒯聵の子の輒を立てて蒯聵を防ごうとした。
よって輒はその祖を父とし、その父を寇とするという、名実が甚だ乱れた状況になった。
これ故に孔子は、今の衞の政は、このままではどうしようもないと考え、必ずやらなければいけないことは、まず名を正しくすることで、それができて後に、初めてするべきことがあるとしたのだ。
これはただ衞国のために述べたことだが、およそ政をする道は、みな将にこれを以って先とするべきである。

子路曰、有是哉、子之迂也、奚其正、

【書き下し】
子路の曰く、是有るかな、子の迂ること、奚ぞ其れ正しくせん、

【訳】
子路が言った。なんでそんな呑気なことを。先生は迂闊ですね。今に当たって、どうして名を正す必要があるのですか、もっと急いでやるべきことがあるようにも思いますが。

【解説】
子路は、輒が位に立ってその時まで十二年の間、国民はみな、取り敢えず従い居るので、名を正すよりも、もっと他にやるべきことがあると思っていたのだ。

子曰、野哉由也、君子於其所不知、蓋闕如也、

【書き下し】
子の曰く、野なる哉、由は、君子は其の知らざる所に於いて、蓋し闕如たり、

【訳】
先生が仰った。鄙俗だね、由=子路は。君子ならば知らないことに疑問を持つものだ。

【解説】
野は鄙俗の義、君子は野に対して云う。
闕如は疑わしき様子。
勝手な憶測で妄りに孔子の答えに反論した子路を責めて、こう述べたのだ。

名不正、則言不順、言不順、則事不成、事不成、則禮樂不興、

【書き下し】
名、正しからざるときは、則ち言うこと順わず、言うこと順わざれば、則ち事成らず、事成らざれば、則ち礼楽興らず、

【訳】
名が正しくないと、言うことが正しく伝わらないから、安心して順うことができない。言うことに順わないと、何事も成すことはできない。何事も成すことができないと、礼の秩序や人々が和楽することなく、道も行われない。

【解説】
ここでは名が正しくないことによる害を詳らかに説明する。

禮樂不興、則刑罰不中、刑罰不中、則民無所錯手足、

【書き下し】
礼楽興らざれば、則ち刑罰中らず、刑罰中らざれば、則ち民、手足を錯く所無し、

【訳】
礼の秩序や人々が和楽することがなく、道も行われないのなら、刑罰も適切に行うことができない。刑罰を適切に行うことができなければ、人々はいつどこで何をしてよいのか、何をしたらいけないのかわからず、手足の置き場すらもわからない。

【解説】
前段の続き。

故君子名之必可言也、言之必可行也、君子於其言、無所苟而已矣、

【書き下し】
故に君子は之に名づくること必ず言いつ可く、之を言うこと必ず行いつ可し、君子其の言に於いて、苟もする所無からまく已、

【訳】
したがって、君子=政事をする人は、正しく名づけ、その言葉に必ず順って口に言うものなのだ。それでこそ、言うことを実行できるのだ。君子はその名を正しくした言葉を使い、曖昧でいい加減な言葉は使わないようにしなければいけない。

【解説】
孔子はこのように子路に告げたが、子路は理解せず、輒に仕えて去らず、ついにその難に死んだ。

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子路第十三 各章
13-1 子路政を問う、子の曰く、之に先んじ、之に労…、
13-2 仲弓、季氏が宰となって、政を問う、子の曰く…、
13-3 子路の曰く、衛君、子を待って政を為せば、子…、
13-4 樊遅、稼を学びんことを請う、子の曰く、吾れ…、
13-5 子の曰く、詩三百を誦して、之を授くるに政り…、
13-6 子の曰く、其の身、正しきときは、令せざれど…、
13-7 子の曰く、魯衞の政りごとは兄弟なり、
13-8 子、衞の公子荊をの玉わく、善く室に居れり…、
13-9 子、衞に適く、冉有僕たり、子の曰く、庶いか…、
13-10 子の曰く、苟し我を用いること有らば、期月に…、
13-11 子の曰く、善人、邦を為むること百年、また以…、
13-12 子の曰く、如し王者有らば、必ず世にして後に…、
13-13 子の曰く、苟し其の身を正しくせば、政に従う…、
13-14 冉子、朝より退る、子の曰く、何ぞ晏れつる…、
13-15 定公問わく、一言にして以って邦を興す可きこ…、
13-16 葉公政を問う、子の曰く、近き者、説び、遠き…、
13-17 子夏、莒父の宰と為って政を問う、子の曰く…、
13-18 葉公、孔子に語げて曰く、吾が党に躳を直する…、
13-19 樊遅、仁を問う、子の曰く、居處恭しく、事を…、
13-20 子貢、問いて曰く、如何なるか斯れ、之を士と…、
13-21 子の曰く、中行を得て之に与せずんば、必ず狂…、
13-22 子の曰く、南人言えること有りて曰く、人とし…、
13-23 子の曰く、君子は和して同せず、小人は同じて…、
13-24 子貢問いて曰く、郷人皆之を好むは如何、子の…、
13-25 子の曰く、君子は事え易うして説こばしめ難し…、
13-26 子の曰く、君子は泰かにして驕らず、小人は驕…、
13-27 子の曰く、剛毅朴訥は仁に近し、
13-28 子路、問いて曰く、如何なるか斯れ、之を士と…、
13-29 子の曰く、善人民を教えること七年、亦以って…、
13-30 子の曰く、教えざる民を以って戦わしむ、是れ…、

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最終更新日:令和07年11月07日 学易有丘会
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