子曰、天何言哉、四時行焉、百物生焉、天何言哉、
【書き下し】
子の曰く、天、何をか言うや、四時行き、百物生る、天、何をか言うや、
【訳】
先生が仰った。天は何も言わない。天の作用で季節が移り変わり、いろいろなものが生まれた。しかし天は何も言わない。
【解説】
孔子は、私が何も言わなくても、天の運行、自然の移り変わりを観察すれば、自ずとすべてのことがわかるものだ、と示したのだ。
孔子の道は、天から啓示されたのでも何でもない、あくまでも観察を基本とした学問なのだ、ということ。
天あるいは神といったものの啓示、お告げといったもので世の中を論じているのではない。
だから絶対的な善悪は想定しない。
孔子が行ったのは、どうすれば人々から歓迎され、どうすれば人々から憎まれるか、のシミュレーションでああって、誰でも勉強すればわかることである。
西洋キリスト教では、善悪の判断は神が示したものだとし、人間が自ら善悪を考えることを否定してきたが、その真逆が孔子の考えなのであって、言わば無神論と言ってよいだろう。
ちなみに孔子とは反対に、天は意志を持っていて、天の意志に従うことを提唱したのが、孔子よりもやや後の孟子の時代に儒家と対峙した墨子である。
その墨子の思想はキリスト教と似ていて、これについては欧米でも指摘されているが、清朝末の学者黄鄭憲は、墨子がキリストより約四百年古いことから、墨子の思想が西に伝わってキリスト教になったのではないか、と考えた。
|