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漢文として楽しむ論語 衞靈公第十五 4/4トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 31(410) 子曰君子謀道不謀食…
○ 【書き下し】子の曰く、君子は道を謀って食を謀らず、耕すにも餒その中に在り、学ぶにも禄その中に在り、君子は道を憂えて、貧しきことを憂えず、 【訳】先生が仰った。君子は道を学ぶことを求めても食べることは求めない。食糧を得る目的で農地を耕しても、天候によっては凶作で飢えることもある。食糧を得ることを目的とせずに道を学んでいても、禄を得る場合もある。が、とにかく君子は道を学ぶことが最優先で、それができないことを憂い、食料が乏しく貧困になっても、それを憂えることはないのだ。 【解説】謀は求めること。飢饉になるのも禄を得るのも時の運。ここでは禄を得るために道を学ぶことを戒めているのだ。禄を得ようとして学べば却って道から遠ざかってしまう。 32(411) 子曰知及之…
○ 【書き下し】子の曰く、知、之に及べども、仁、之を守ること能わざれば、之を得ると雖も必ず之を失う、 【訳】先生が仰った。道理を知っているとしても、仁の徳を以ってこれを守ることができなければ、その地位を得ることはできても、やがてその地位を失うことになる。 【解説】ここでは君、大夫、士の学に於いて、兼ね備えるべきことを示す。その第一として、知者すなわち道理を知っているだけの場合を述べる。 【書き下し】知、之に及び、仁、能く之を守れども、荘以って之に@まざるときは、則ち民敬せず、 【訳】道理を知っていて、仁の徳を以ってこれを守ることはできても、威厳がなく位に就いているだけでは、民は敬うことはしない。 【解説】第二に知と仁を心得ている場合を述べる。荘は荘厳、威厳。 【書き下し】知、之に及び、仁、能く之を守り、荘以って之に@めども、之を動かすに礼を以ってせざれば、未だ善からず、 【訳】道理を知っていて、仁の徳を以ってこれを守り、威厳を以って位に就いているとしても、民を動かすのに礼を以ってするのでなければ、未だ善いとは言えない。 【解説】最後に知と仁を心得ていて威厳もある場合を述べる。動かすとは、民を使役することではなく、民が感動して服することを云う。 33(412) 子曰君子不可小知…
○ 【書き下し】子の曰く、君子は小知す可からず、大受す可し、小人は大受す可からず、小知す可し、 【訳】先生が仰った。君子は細事をさせても君子たることを見いだせないが、責任ある大事を任せればその真価を発揮する。小人には責任ある大事は任せられないが、細事をやらせると、ちょっとした才能があったりもする。 【解説】ここでは君子小人を見分かつ方法を述べる。小知は小事、こまごまとした事、細事。大受は責任ある大事。 34(413) 子曰民之於仁也…
○ 【書き下し】子の曰、民の仁に於けるや水火よりも甚だし、水火は吾蹈んで死する者を見る、未だ仁を蹈んで死する者を見ず、 【訳】先生が仰った。人にとって仁は、水や火よりも大切にするべきものだ。私は水や火で死ぬ者は見たことがあるが、未だに仁で死んだ者は見たことがない。 【解説】蹈は誤り陥ること。水と火は生活する上でなくてはならないものだが、己自身に備わる仁もまた同様だ。仁の徳があってこそ人間らしく生きられるのだ。しかも水と火は誤って陥った者を殺すが、仁は未だ嘗て人を殺したことがない。とすれば、何を憚って仁をしないのか。これは孔子が人に仁をすることを勧めるときの言葉である。 35(414) 子曰當仁不讓於師
○ 【書き下し】子の曰く、仁に当たっては師にも譲らず、 【訳】先生が仰った。仁をするに当たっては、例え先生であっても譲る必要はない。 【解説】仁は人々の身に備わっているのであって、自らこれをするのに人と争うことはない。また自分の力でするものであって、人の力を借りるものでもない。したがって誰かに譲るべきものでもなく、いつでも自由にするべきものなのだ。 36(415) 子曰君子貞而不諒
○ 【書き下し】子の曰く、君子は貞にして諒ならず、 【訳】先生が仰った。君子は道理に照らして正しいことは常に固く守るが、盲目的に信じるようなことはしない。 【解説】貞の字には、正しい、常、固い、の三つの意があり、その時々の文章の流れに従ってどの意なのかを判断して読むのだが、ここではすべての意を包含している。諒は是非を考えずにただ信じること。 37(416) 子曰事君敬其事而後其食
○ 【書き下し】子の曰く、君に事えまつるには、其の事を敬し、其の食を後にす、 【訳】先生が仰った。君主に仕えるときは、自分に与えられた仕事を敬い、俸禄の事は君主の計らいに任せて自分からは求めない。 【解説】食は俸禄のこと。 38(417) 子曰有教無類
○ 【書き下し】子の曰く、教え有って類い無し、 【訳】先生が仰った。教えは有っても、人に善悪の類別はない。 【解説】人には善悪の二類があるが、元々はみな善だった。それが、気質の偏りや習俗に染まることで善悪の異なりが生じたのだ。したがって悪人だとしても教えればみな善に返るのであって、教化の道はあるが、人に善悪の類別はない、とするのだ。 39(418) 子曰道不同…
○ 【書き下し】子の曰く、道同じからざれば、相為に謀られず、 【訳】先生が仰った。道が同じでなければ互いに相談しない。 【解説】志が異なれば相談しても結局は無駄になる。 40(419) 子曰辭達而已矣
○ 【書き下し】子の曰く、辞達して已む、 【訳】先生が仰った。言葉は飾らず簡単にするのがよい。 【解説】言葉は相手がすぐ理解できるようにすることが大事であって、余計な修飾はなるべく加えないほうがよい。 41(420) 師冕見…
○ 【書き下し】師冕見ゆ、階に及べり、子の曰く、階ぞ、席に及べり、子の曰く、席ぞ、皆坐す、子、之に告げて曰く、某れ斯に在り、某れ斯に在り、師冕出でぬ、 【訳】盲目の音楽奏者の師冕が孔子に会いに来て、堂の階段のところまで歩いてきた。先生が仰った。階段ですよ。堂に上って座席のところに来た。先生が仰った。ここが席ですよ。堂上に居た人たちは皆立って出迎えたのだが、師冕が席に着くと、皆席に着いた。先生は着座している人々の姓名を師冕に告げて仰った。こちらが〇〇です。こちらが〇〇です。つつがなく面会が終わって師冕は退出した。 【解説】魯の楽師瞽者、名は冕という者が来て孔子と会ったときのこと。 【書き下し】子張、問いて曰、師と、言うの道か、子の曰く、然り、固に師を相くるの道なり、 【訳】子張が質問して言った。盲目の楽師とは、あのように対応するものなのですか。先生が仰った。そうだ。このように気を配って師をたすけるのが道だ。 【解説】常に相手のことを思いやり、気を配ることが大事なのだ。 |
最終更新日:令和02年10月21日
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