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漢文として楽しむ論語 憲問第十四 2/5トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 10(342) 或問子産…
○ 【書き下し】或る人、子産を問う、子の曰く、恵人なり、子西を問う、曰く、彼よや彼よや、管仲を問う、曰く、この人、伯氏が駢邑三百を奪う、疏食を飯って、歯を没れども怨言無し、 【訳】或る人が子産について質問した。先生が仰った。民を恵愛する人だ。子西について質問した。先生が仰った。あの人か、あの人か。管仲について質問した。先生が仰った。管仲は大夫伯氏の罪をただして領地の駢邑三百里を没収し、その後伯氏は困窮してロクなものも食べられなかったが、自らの罪に改心して管仲の功に服し、年老いて死ぬまで怨み言は一度も口にしなかった。 【解説】子西は楚の公子 11(343) 子曰貧而無怨難…
○ 【書き下し】子の曰く、貧しくして怨み無きは難し、富て驕ること無きは易し、 【訳】先生が仰った。貧しくても誰も怨まないのは難しいが、富て驕らないのは簡単だ。 【解説】貧しさは天命だとして怨まないのが望ましいが、なかなかできることではない。富んでいれば、驕りたかぶって貧しい人を見下したりするものだが、それを自制するのは貧しさを怨まないことよりもはるかに簡単なのだ。 12(344) 子曰孟公綽爲趙魏老則優…○ 【書き下し】子の曰く、孟公綽、趙魏の老為らば則ち優かならん、以って滕薛の大夫為る可からず、 【訳】先生が仰った。魯の大夫の孟公綽が、仮に趙や魏のような大家の家老になれたら、大したものだ。しかし現実は、滕や薛のような小国の大夫にもなれない人物だが。 【解説】孟公綽は魯の大夫。趙と魏とは晋の世卿の家。老は家老のこと。大家の老は勢い尊くして官職の責めはとても軽い。滕と薛とはみな小国。小国の大夫は位高くして責めが重い。公綽は、これには耐えられないだろう。 13(345) 子路問成人…○ 【注】子曰の次の若2の返り点は、臧武仲1だけではなく、公綽1、卞莊子1、冉求1からも返して読む。 【書き下し】子路、成人を問う、子の曰く、臧武仲の若きの知、公綽が若きの不欲、卞莊子が若きの勇、冉求が若きの芸、之を文なすに礼楽を以ってせば、亦た以って成人と為す可し、 【訳】子路が成人について質問した。先生が仰った。臧武仲のように知があり、公綽のように廉=無欲で、卞莊子のように勇気があり、冉求のように多芸多才で、この知廉勇芸をほどよく調和させるために礼と楽を以って彩なす者こそが、成人だ。 【解説】成人とは完全な人物といった意。臧武仲は魯の大夫、名は紇、武仲は諡と字、博識で有名だった人物。公綽は孟孫氏のひとり。卞莊子は魯の卞邑の大夫、荘は諡。 【書き下し】の玉わく、今の成人というものは、何ぞ必ずしも然らん、利を見て義を思い、危うきを見て命を授け、久要にも平生の言を忘れざる、亦た成人と為す可し、 【訳】先生が仰った。しかし今の時代の成人というものは、必ずしもこのようことまでは望めない。そこで、利をのぞむときは義を思って邪なことはしない、主君が危険なときは命を惜しまずに捧げ与え、時が経ってしまった普段の何気ない約束でも決して忘れずに行う、ということができれば、まあ成人だと言えよう。 【解説】前半は人間としての資質を述べ、この後半は、資質に関わらず、するべき事について述べている。 14(346) 子問公叔文子於公明賈…○ 【書き下し】子、公叔文子を公明賈に問いて曰く、信なるかな、夫子言わず、笑わず、取らざること、 【訳】孔子が公叔文子のことを公明賈に質問して仰った。本当なのだろうか、噂では、文子はものを言わず、笑わず、贈り物を受け取らないとか。 【解説】公叔文子は衛の大夫公孫枝、文は諡。公明は姓、賈は名、これも衛の人。夫子は文子を指す。 【書き下し】公明賈、対えて曰く、以って告す者の過ちなり、夫子、時あって然して後に言う、人、其の言うことを厭わず、楽しんで然して後に笑う、人、其の笑うことを厭わず、義あって然る後に取る、人、其の取ることを厭わず、子の曰く、其れ然りな、豈、其れ然りや、 【訳】公明賈が答えて言った。そう告げた者の過ちです。文子は発言するべきときにだけ発言するので、誰もその発言を不快に感じず、本当に楽しいときにだけ笑うので、誰もその笑いを不快なお愛想笑いだとは感じず、義として当然の贈り物だけを受け取るので、誰もその受け取ることを不快に感じないだけです。先生が仰った。なるほど、そういうことか。しかしどうして、そういうことになったのだろうか。 【解説】噂はひとり歩きし、やがて真実とは違ってくる、ということ。夫子は文子を指す。 15(347) 子曰臧武仲以防求爲後於魯…
○ 【書き下し】子の曰く、臧武仲、防を以て後を魯に為てんことを求む、君を要せずと曰うと雖も、吾れは信ぜず、 【訳】先生が仰った。臧武仲は罪を得て亡命する際、自分の領地の防に立てこもり、自分の世継ぎを立てることを魯の君主に求めた。武力で強要したのではないと云っても、私には信じられない。 【解説】防は臧武仲の領地の邑の名。後は世継ぎのこと。魯の襄公の時、武仲は罪を得て亡命する前に、自分の領地に立てこもって自分の世継ぎを立てさせた欲しいと求めた。やがてその要求は受け入れられ、武仲は亡命した。 16(348) 子曰晉文公譎而不正…
○ 【書き下し】子の曰く、晋の文公は譎って正しからず、斉の桓公は正しくして譎らず、 【訳】晋の文公は謀略を用い、正攻法で戦うことはせず、斉の桓公は正攻法で戦い、謀略を用いなかった。 【解説】晋の文公、名は重耳。斉の桓公、名は小白。文公も桓公も諸侯に覇として共に夷狄を払って周の王家を尊んだのだが、戦争の方法に違いがあった。 17(349) 子路曰桓公殺公子糾…
○ 【書き下し】子路の曰く、桓公、公子糾を殺す、召忽これに死んぬ、管仲死なず、曰く、未だ仁あらざるか、 【訳】子路が言った。斉の桓公が公子糾を殺した時、召忽は公子糾に殉死したが、管仲は死なずに桓公の政事を補佐した。このようなことで、管仲に仁の徳はあるのでしょうか。 【解説】桓公は斉の君主。公子糾は桓公の庶兄。召忽は斉の大夫、公子糾の臣。管仲は召忽の同僚で、菅子の著者。 【書き下し】子の曰く、桓公、諸侯を九合するに、兵車を以ってせざるは、管仲が力なり、其の仁に如んや、其の仁に如んや、 【訳】先生が仰った。桓公が諸侯を正し合わせするのに、軍事的威嚇をしなくてできたのは、管仲一人の力だ。管仲は未だ仁者とは言えないが、その武力を使わずに正し合わせたことは、仁の功がある。他にこれ以上の仁の功績を挙げた者がいるだろうか。 【解説】九合の九は糾に通じ、正すという意を含む。この頃は周の王政が衰え、諸侯は服さず、夷狄が犯し入っていた。管仲は桓公に相として周王室を尊び、夷狄を払い、天下の諸侯を正し合わせて盟約させた。 |
最終更新日:令和02年10月21日
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