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漢文として楽しむ論語 先進第十一 3/4トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 21(274) 子路問聞斯行諸…
○ 【書き下し】子路問わく、聞くままに斯れ行わんや、子の曰く、父兄在すこと有り、如之、何ぞ其れ、聞くままに斯れ之を行わん、冉有問わく、聞くままに斯れ行わんや、子の曰く、聞くままに斯れ之を行え、 【訳】子路が質問した。行うべきことを聞いたらすぐに実行するべきでしょうか。先生が仰った。父兄がいるのだから、まず父兄の判断を仰いでからだ、自分だけの判断ではいけない。冉有が質問した。行うべきことを聞いたらすぐ実行するべきでしょうか。先生が仰った。聞いたらすぐ実行しなさい。 【解説】子路と冉有が同じ質問を孔子にしたところ、それぞれに返ってきた答えは逆だった。 【書き下し】公西華の曰く、由問わく聞くままに斯れ行わんや、子の曰く、父兄在ますこと有り、求問わく聞くままに斯れ行わんや、子の曰く、聞くままに斯れ行え、赤惑いて敢えて問う、 【訳】公西華が言った。由=子路が、聞いたらすぐ実行するべきか質問したとき、先生は父兄の判断を仰いでからにしろと仰った。求=冉有が同じ質問をすると、先生はすぐ実行しなさいと仰った。赤=公西華はこの相反する答えに迷ったので、敢えてその理由を質問した。 【解説】公西華は、子路と冉有とで答えが逆の理由を質問した。 【書き下し】子の曰く、求は退く、故に之を進む、由は人を兼ぬ、故に之を退く、 【訳】先生が仰った。求=冉有は資質柔弱にして、何事においても志向が退くに傾きやすいので、敢えて実行しないさいと肩を叩いた。由=子路は資質剛強にして、何事においても志向が進むに傾きやすいので、まずは父兄の判断を仰ぐようにと、はやる気持ちを抑えたのだ。 【解説】兼人とは、人に優ろうとすることを云う。 22(275) 子畏於匡顔淵後…
○ 【書き下し】子、匡に畏る、顔淵後れたり、子の曰く、吾れ女を以って死せりと為しき、曰く、子在ます、回何んぞ敢えて死せん、 【訳】先生が匡の難のとき、匡人の囲いから逃げ出すときに顔淵は一時みんなから後れた。やがて追いつくと先生は仰った。私は顔淵が匡人たちによって死んだのではないかとハラハラしたよ。顔淵が言った。先生が無事でいるのに、なんで私が安易に死にましょうぞ。 【解説】匡は衛の国の地名。人違いで孔子一行は匡の人たちに取り囲まれて殺されそうになったことがあったが、そのときのこと。子罕第九5にもこのときの様子が別の角度から語られている。 23(276) 季子然問…
○ 【書き下し】季子然問わく、仲由冉求を大臣と謂いつ可けんや、 【訳】季子然が質問した。仲由と冉求は大臣と言って相応しいでしょうか。 【解説】子然は季氏の子弟である。その家に二賢を得て臣としたいと思っていて、質問した。しかし子然は大臣ということについて本当のところを知らず、ただ才能があってよく大事を取りまわせる者のことだと考えていた。なお大臣とはその人の資質を言っているのであって、位ではない。 【書き下し】子の曰く、吾れ子を以って異なることを問うと為す、曽ち由と求とを之問えり、 【訳】先生が仰った。道の本質的なことの質問かと思ったら、由と求についての質問か。 【解説】子然の質問の内容に孔子はちょっと拍子抜けしたようだ。 【書き下し】所謂大臣は、道を以って君に事え、不可なるときは則ち止む、今、由と求とは具臣と謂いつ可し、 【訳】いわゆる大臣は、道を以って君に仕え奉り、道が行われないようならば退き仕えないものだ。由と求はまだそこまでの資質はない。せいぜい政務を忠実に執り行う具臣がよいところだ。 【解説】以道事君は、必ず正道を守り、君の私欲に順って悦ばれることをしないこと。 【書き下し】曰、然るときは則ち之に従わん者か、子の曰く、父と君とを弑さんには、また従わじ、 【訳】子然が言った。とすると、二人は大臣ではないにしても、季氏が命じることならばどんなことにでも従いますか。先生が仰った。父と君とを弑殺するような、君臣の義を無視する大悪の命令には従いません。 【解説】季氏の臣として、子然の臣にあるまじき野心を折ろうとする意図を込めて、孔子はこのように答えたのだ。 24(277) 子路使子羔爲費宰…
○ 【書き下し】子路、子羔をして費の宰たら使む、子の曰く、夫の人の子を賊う、 【訳】子路が季氏の臣たる時に、子羔を費邑の宰にしようとした。先生が仰った。今の子羔を仕えさせれば、彼の身を害することになる。 【解説】子羔は資質は美しく厚いのだが、未だ学門が満たなくて智が足りない。このまま民を治めさせれば学業が蔑ろになると共に政事を誤る可能性がある。これは正に其の身を害することであると、孔子は考えたのだ。 【書き下し】子路の曰く、民人有り、社稷有り、何ぞ必ずしも書を読んで、然る後に学ぶことを為ん、子の曰く、是の故に夫の佞者を悪む、 【訳】子路が言った。民人を治め、社稷の鬼神に仕え奉るのは、学をすることの実践だ。なんで書を読むことだけが学問だと言えるのでしょうか。先生が仰った。だから私は口が達者な人を憎むのだ。 【解説】事前に学んだ知識なく、見よう見まねで民を治め、鬼神を祭るのは、鬼神を侮り、民をバカにしているのと同じだ。口が達者であれば、言い方を変えて表現し、何でもよいことにしてしまうこともできるが、その本質を見極めてから是非は判断する必要がある。ただしここでのやり取りでは、子路が浅い考えで発言したに過ぎないとして、直接非難するのではなく、一般論として口が達者な人を憎むと言ったのだ。 |
最終更新日:令和05年01月28日
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