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漢文として楽しむ論語 子罕第九 3/4トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 13(218) 子欲居九夷…
○ 【書き下し】子、九夷に居らまく欲す、或る人の曰く、陋し、これ如何、子の曰く、君子これに居る、何の陋しきことか之有らん、 【訳】先生は九夷の地に住みたいと欲した。或る人が言った。夷狄は礼儀なく卑しい、そんなところにどうして住めようか。先生が仰った。どのような地であっても君子たる徳を備えた人物が居れば、その徳に感化される。感化されれば夷狄の地であっても何ら卑しいことはない。 【解説】九夷は東方の夷=エビスにて九種類あるのを云う。これは孔子の道が行われないことによる嘆きである。 14(219) 子曰吾自衞反魯…
○ 【書き下し】子の曰く、吾、衛より魯に反って、然る後に楽を正し、雅頌各おの其の所を得たり、 【訳】先生が仰った。私は衛から魯に帰って、その後音楽全般の乱れを正し、雅頌の詩もその使われるべき所を得た。 【解説】孔子が衛から魯に帰ったのは哀公十一年冬のこと。楽は音楽全般を兼ねて云う。雅頌の詩は楽の歌、雅は雅の詩として朝廷に用い、頌は頌の詩として宗廟に用いる。詩には風雅頌の三種があり、孔子はこれらすべてを正した。ここではその重きを挙げて風を略したのだ。そもそも周の礼楽はすべて魯にあったのだが、時代と共に詩楽が欠け失せ散逸して整わなかった。孔子は周辺諸国を巡る間に、散逸した断片を見つけ、それらを校合し、晩年に道がついに行われないことを知り、魯に帰ってこれを正して後世に伝えたのだ。 15(220) 子曰出則事公卿…
○ 【書き下し】子の曰く、出でては則ち公卿に事え、入りては則ち父兄に事え、喪は敢えて努めずばあらず、酒の困れを為ざること、何れか我に有るや、 【訳】先生が仰った。外では国の中枢に仕え、家の中では父兄に仕え、喪には努めて誠意を尽くし、酒は飲んでも乱れない。この程度なら、私にもできるだろう。 【解説】王朝には公卿の官があり、侯国では公は君主のことを指すのだが、ここでは国を動かす役職の例として大雑把に公卿と云う。 16(221) 子在川上…
○ 【書き下し】子、川の上りに在まして曰く、逝く者は斯の如き、昼夜を舍かず、 【訳】先生が川のほとりに在たときに仰った。流れ来た水が昼夜を問わず間断なく流れて逝く。 【解説】孔子が川のほとりで水が流れるのを見て、天道のやむ無きことを嘆じたことば。逝者とは天地の運化、自然界のすべての動いているものを云う。川の流れも昼夜を問わず常に流れ続けて間断がない。 17(222) 子曰吾未見好コ如好色者
○ 【書き下し】子の曰く、吾、未だ、徳を好むこと、色を好むが如くなる者を見ず、 【訳】先生が仰った。私は未だに、女性を好むのと同じように本能的に徳を好む者に出会ったことがない。 【解説】色を好むのは人間の本能。そもそも本能的に徳を好むのは、余程の変人でもない限りあり得ない。しかし本能の赴くままに徳を蔑ろにすれば、社会は弱肉強食になる。だからこそ、もう少し徳というものに目を向けて欲しいと願い、こんなことを述べたのだ。 18(223) 子曰譬如爲山…
○ 【書き下し】子の曰く、譬えば山を為くるが如し、未だ一簣を成さずして、止むは吾が止むなり、譬えば平地の如し、一簣を覆すと雖も、進むは吾が往くなり、 【訳】先生が仰った。例えば山を造るとき、あと、かご一杯の土を盛れば完成というときに、その一杯を盛らずに止めたら、構想どおりの山にはならないし、それは自分の責任だ。例えば平地を造成するとき、かご一杯の土をそこにばら撒けば、それだけ仕事が進み、それは自分の力で進めたことになる。 【解説】これは、書経の周書・ 19(224) 子曰語之而不惰者…
○ 【書き下し】子の曰く、之を語るに而も惰らざる者は、其れ回なるか、 【訳】先生が仰った。私が語ることを惰らずに聞いて実践する者は、今のところ回=顔淵だけかな。 【解説】孔子が語る所を聞いても多くの弟子は中途半端にしか理解できなかった。そんな中、顔淵=回だけは、孔子の言に悦び、身につけて行動し、さらに深く勉強し、何ら怠ることがなかった。孔子が回=顔淵を称賛するのは、諸弟子を励まそうとしてのこと。 20(225) 子謂顔淵曰惜乎…
○ 【書き下し】子、顔淵を謂って曰く、惜しいかな、吾、其の進を見つ、未だ其の止むを見ざりき、 【訳】先生が顔淵のことを謂って仰った。惜しいことに、私は彼が進むのは見たけど、止めるのは未だ見たことがなかった。 【解説】これは顔淵がすでに卒した後、孔子が嘆き惜しんだ言葉である。顔淵はすでに仁に違わなかったので、道に進むばかりで、これまで挫折して止めようとすることがなかった。素晴らしいことだが、それを反語として惜しんだのだ。 21(226) 子曰苗而不秀者有矣夫…
○ 【書き下し】子の曰く、苗にして秀でざるもの、有るかと、秀でて実らざるもの 有るかな、 【訳】先生が仰った。苗をちゃんと育てても、中には花が咲かないまま枯れてしまうものがある。花が咲いても実らないものがある。 【解説】秀でるとは花をつけるもの。学問も同じで、どこまで育つかは本人の努力次第。 22(227) 子曰後生可畏…
○ 【書き下し】子の曰く、後生畏る可し、焉んぞ来る者の今に如かざるを知らん、四十五十にして聞こえること無くば、斯れ畏るるに足らざらく已、 【訳】先生が仰った。自分より若い者は畏れるべきだ。将来、今の我々に及ばないとは限らない。ただ四十五十になっても名が知られないようならば、畏れるに足りない。 【解説】後生は自分より若い者のこと。これは、若い者に、時を失わずに学を努め、やがては世間に名が聞こえる畏れるべき存在になって欲しいと勧めているのだ。 |
最終更新日:令和02年10月21日
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